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「TIB FAB Makers Challenge2025 成果発表会」ベッド難民の自分だから生まれたプロダクト。すべての人に快適な睡眠を届けるスマートベッドの未来

「TIB FAB Makers Challenge」は、ものづくりスタートアップにチャレンジしたい熱量のある方を対象とした、ものづくりシードスタートアップ育成プログラムです。
今回は、1月21日(水)に開催した「TIB FAB Makers Challenge 2025 成果発表会」で最優秀賞を受賞した、菅原様にインタビューを実施しました。スマートベッドの今後の展開や、本プログラムに参加して得られたことなどをお話いただきました。

インタビュイー

菅原 祥平 様
チーム名:Sugahara Design Engineering

経歴:
2011年 山梨大学工学部機械システム工学科卒
2015年 桑沢デザイン研究所プロダクトデザイン専攻卒
2012〜2015年 在学中、SonyCSLにてリサーチアシスタントとしてロボット義足や脚部リハビリ補助デバイスの開発に携わる
2015〜2024年 英国Dysonにて、日本人初のデザインエンジニアとして、掃除機やドライヤーカテゴリーの新製品コンセプト開発に携わる。2017年までは日本支社にて品質保障部署に所属
2024〜2025年 ロンドンのハードウェアスタートアップにて、Head of Hardwareとして製品開発を主導
2025年〜現在 Sugahara Design Engineering として、ハードウェア製品開発受託を受けながら自社製品のスマートベッドの開発を行う

ベッド難民だった自分の原体験から生まれた、“ベッドが人に合わせる”というコンセプト

ー 「TIB FAB Makers Challenge 2025」最優秀賞受賞おめでとうございます!今の率直な感想をお聞かせいただけますか。

スマートベッドは、僕自身がベッド難民で、朝起きた時から肩や首が痛くて悩まされていた原体験から生まれました。「この悩みを解決できるベッドがあったら」と考えたことがきっかけで、ここまで一人でコンセプトを作ってきました。

そんな中、「TIB FAB Makers Challenge 2025」の成果発表会がまさに初めて世間に公開するタイミングとなりました。そこで最優秀賞という評価をいただいたことで、自分が欲しいと思っていたものが、他の方たちにも受け入れられる可能性があることが分かり、非常に良いフィードバックをもらえた気持ちになりました。

ー 私も、スマートベッドのコンセプトを見てとても欲しくなりました!改めてになりますが、スマートベッドの特徴をご説明いただけますか。

スマートベッドには、大きく2つの特徴的な機能があります。

一つ目は、「ベッドの硬さを変えることができる点」です。
例えばベッドを買いに行くと、「どの硬さのマットレスがいいですか。」と聞かれ、実際にマットレスに寝転がって試すことがあると思います。ですが、種類の多さに加え、実際の寝巻きではない服を着たまま試すため、どのマットレスが本当に自分にぴったり合うのか正直わからないという方も多いと思います。
そこで、ベッド自体の硬さを変えられるようにすることで、ベッドが一人一人に合わせてくれる仕組みにしました。

二つ目は、「姿勢に合わせてベッドの表面を自動で変えることができる点」です。
寝返りや一人一人の体の凹凸に合わせ、ベッドが自動的に動いたらより快適になるのではという仮説のもと、表面が波打つように動き、任意の位置を上下させることができる仕組みを考えました。

今後は実物大のベッドを製作して実証実験を行い、本当にこの2つの機能が快適な寝心地に寄与するのかを調査していきたいと思っています。

ー “ベッドが人に合わせる”というコンセプトが、とても面白いですね。

最近話題になっているフィジカルAIのように、ベッドが自ら考えて、人に影響を与えていくようなことができればいいなと思っています。

ー ちなみに、睡眠に着目したのは、スリープテック市場が伸びていることも関係しているのでしょうか?

すごく正直なところ、本当に自分が欲しいものを作りたかったので、スリープテック市場の伸びはあまり意識していませんでした。コンセプトを作っている過程で、スリープテック市場のことを調べていくと、市場が世界的にもどんどん拡がりをみせていることがわかりました。

(ボタンを操作すると、ベッドの硬さを変えることができる)

移動や宿泊、介護の現場など、あらゆる場面で睡眠の課題を解決できる可能性も

ー スマートベッドは、どんな課題の解決につながるとお考えですか。

様々なユースケースが当てはまるかなと思います。

まずは個人向けです。
ご自宅のベッドは数十万、数百万円かけても寝心地の良いものを買いたいとお考えの方に向けて、新しいソリューションとして提供していきたいです。

次に宿泊業界です。
私は、宿泊するホテルごとにベッドの硬さが異なることに悩むことがあります。スマートベッドであれば、ボタン操作だけで自分の好みの硬さにベッドを調整できるため、自宅のベッドに近い寝心地を再現することができます。

また、介護や医療の現場での活用も期待しています。
このベッドは表面の体圧を調整できるため、例えば寝たきりの方に起こりやすい床ずれの予防に役立つ可能性があります。床ずれは同じ場所に長時間圧力がかかることが主な原因とされています。そのため、時間に応じてベッドの形状や圧力を変えることができれば、姿勢を定期的に変える必要がある介護者の負担軽減にもつながるのではないかと考えています。

さらに、移動空間での活用も考えています。
例えば、新幹線のグランクラスや、航空機のファーストクラスなど、移動中の快適性を重視する空間で活用していただければと考えています。

アイディアを形にできた半年間、同じビジョンを持つ仲間との出会い

ー 今回、「TIB FAB Makers Challenge 2025」に参加されたきっかけを教えていただけますか。

昨年の夏頃、「TIB FAB Makers Challenge 2025」のSNS広告を見て知りました。当時は、スマートベッドのアイディアが自分の頭の中にあるだけでしたので、このアイディアが採択されたらいいなと思い、応募しました。

ー 実際にプログラムに参加された約半年の間で、どういった成果が得られましたか?

実際にコンセプトをものとして作り上げたことですね。応募時は、コンセプトのスライド資料1枚しかなかったので、頭の中のアイディアを具現化できた半年間でした。

ー 製作する中で、大変だった出来事はありますか。

プロトタイプで動かしているので、思った通り動かないことはよくあることなのですが、やはりその不安定さには苦労しました。成果発表会のように、コンセプトをしっかり見せるタイミングで、プロトタイプがきちんと動くようにすることが1番大変でした。

ー では、特にこだわった点はどういったところでしょうか。

“コンセプトをいかに伝えられるか”という点にはこだわりました。
まずは体験してもらい、見てもらい、共感してもらえる最低限のものを形にできればいいと考えました。見た目を気にするのは後回しにするなど、優先順位の取捨選択をしました。

ー 「TIB FAB Makers Challenge 2025」に参加されて、どんなことが得られましたか。

プロダクトを作りたい、ハードウェアを作りたいという、同じビジョンを持った皆さんと一緒にステップアップしていけたことですね。

やはり自分一人でやっていると、ものは作れても、モチベーションを保つことが難しい時があります。また、ものを市場に届けるというフェーズでもまたわからないことや悩みが出てきます。そういった時に、同じ悩みを抱えてる人たちと情報交換をできてとても良かったですし、フィードバックをいただけたことで、自分の方向性が大丈夫だなとわかりすごく心強かったです。

ー プログラムが交流の場となっていたのですね。今後はTIB FABをどのように活用されるご予定でしょうか。

やはり今後もフィードバックや意見交換を行える場所として、活用していきたいと思っています。

睡眠のことを考えず、みんなが自分の楽しいことに打ち込める未来へ

ー スマートベッドの今後の展開を教えてください。

まずは、1分の1サイズのスマートベッドを製作し、実証実験を進めていきたいです。これが次の大きなステップですね。

最終的にはもちろん、製品として市場に届けることが理想です。どこかのタイミングでうまくいかないという可能性もあるとは思いますが、今は全力で突き進みたいと思っています。

ー では、スマートベッドを通して、菅原さんが今後実現したい未来を教えてください。

睡眠のことを考えなくてよい世界を作りたいです。
みなさんも子どもの頃は、日中はたくさん遊んで、眠くなったら寝て、起きる時間になったら起きるというように、寝ることについて特に意識していなかったのではないでしょうか。

今後は、快適な睡眠はスマートベッドに任せてしまって、日中はやりたいこと、楽しいことに集中できる人たちが増えていったらいいなと思っています。

ー 本当に楽しみです。では最後に、「TIB FAB Makers Challenge 2026」の参加を考えている方に向けて、メッセージをいただけますか。

プログラム期間を通して、何かしらものを作ってみせることは非常に大切です。
例えば段ボールで作った模型でも構いません。クオリティではなく、アイディアを形にすることを第一に考えてほしいです。

TIB FABには、アイディアを形にできる環境があります。さまざまなことを学べる機会でもあるので、ぜひ積極的に活用してほしいと思います。

(インタビュー:2026年3月)